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とらぴでにたくさん

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代表選考の難しさ

陸上競技 ぐだぐだ語り

2015年3月31日付

貼り付けてた記事が削除されていたようなのでリンクを削除しました。

 

今年は世界陸上の年です。来年はリオデジャネイロオリンピックです。

そんな時期だからこそ無駄に無意味に話題をまき散らすのが「代表選考」の問題。特に陸上競技(マラソン中心に色々)はどういう選出をしてもどういう選考基準でも文句を言われ話題が出回るめんどくさい状況が続いています。いつもですね。

今回もそういった話題の一つ…といっちゃ失礼かな。陸連の想定と現実がいまいちリンクしなかったが故のぐだぐだになっています。

今年のマラソン選考に関しては、天候には恵まれないわ、ペースメーカーがレースぶち壊すわでかなり不運なレースが続いていました。特に女子は横浜も名古屋もペースメーカーが設定タイムを守れず飛ばしすぎ。田中選手はその飛ばしたペースメーカーについて行かなかったことを低く評価されての落選だそうです。唯一大阪だけがペースメーカーを起用していなかったのでその影響を免れました(とはいえ気温11度前後って暑くね?と思った記憶はある)

まあ、ちょいちょいマラソン見ていらっしゃる方なら分かる通り、基本的に「選考レース」といっても時期も違えばペースメーカーの設定タイムも違う、当然コースの性質も大幅に異なりますし、レース展開だって変わってきます。その中で出たタイムや順位を見ながら選出しなくてはいけないのが「今のマラソンの代表選考」です。ぐだつくのも無理はない。前提からすべて違うものを比較し、結論を出さなきゃいけないのですから。*1

ただ、選考ということはそこに基準がなければなりません。無理やりにでも基準に則った選考を行う必要があります。

今回問題視されているのはその基準が選手にも、そして各選考レースの主催者にも明確に伝わっていなかったと思われることです。

今回の女子マラソンの選考条件

今回の女子の選考条件は以下の通り(内定条件に関しては今回関係ないので書いてません)

それぞれの選考競技会(横浜、大阪、名古屋)で日本人上位3位以内、および北海道マラソン日本人1位の中から、下記(1)から(2)の順で優先して選出する。

(1)日本陸連設定記録「2時間22分30秒」を期間内にクリアした選手(1名のみ)

(2)本大会での活躍が期待される選手。ただし原則ナショナルチーム所属に限る

今回の選考対象は全て(2)に該当する選手です。というか今回も(1)を満たした選手が出ませんでした。まあ2時間22分台自体しばらく出てなかった(名古屋の前田選手が8年ぶりにやっと出したレベル)のでこれは出せたら入れてやんよ(出せるもんならな)的な事なんでしょうね。

で、まずは設定記録に最も近い前田選手が入り、次にタイムの速かった伊藤選手が入り。最後の1枠を重友・田中両選手で争ったわけです。

ここで重要なのは、明文化されている文言には2人とも該当しているということ

つまり、明確にされていない基準を持ち込んで比較しなければならなかったんですね。

ここで普通なら「優勝した田中選手の方がいいんじゃないの?」となる所ですが、そこで積極性とかなんとか出して(わずかだけどタイムが良い)重友選手に行っちゃうのが日本の選考の問題点なんですよね。

実際のレース

では2人の実際のレースはどうだったのか。

まずは田中選手。横浜国際女子マラソンに出場、2時間26分57秒で優勝しています。

気温13℃と少々暑い中スタートしたレース。展開としては前述の通りペースメーカーが飛ばしすぎ、先頭が5kを16分57秒、10kを33分31秒で通過。つまり5-10kの間の5kを16分34秒。最初の5kと約20秒も速いペースを刻みました。しかしそれがだんだん遅くなり、15kが50分28秒ですからその間の5kが16分57秒。更に20k(ここまでペースメーカーがついていた)の通過タイムが68分4秒でその間の5kが17分36秒。一定のペースでいなければならないペースメーカーのペースがあらぶった結果、ついていく選手とついて行かない選手に分かれて序盤早々に選手がばらける事態に。15k地点3人、20k地点で5人だそうなので相当速かったようです。そして20kの5人の中に田中選手はいました。その後は17分半~18分切りくらいのペースを刻み、最後のデッドヒートからの競り勝ちに繋がったという展開でした。

前半のハイペース(というか無茶ペース)に無理について行かなかったのは本大会で予想されるゆさぶりに左右されないということでもあるので個人的には高評価してもいいと思ったのですが、陸連には積極性がないと判断されました。

 

次は重友選手。大阪国際女子マラソンに出場、2時間26分39秒で3位に入りました。

とりあえず気象条件探したけど見つからなかった。同時開催の大阪ハーフがスタート気温11℃ってなってたんでそれで行きます。

ペースメーカーを置かない今大会、レース序盤からガメラ選手が積極的に飛ばす展開に。重友選手も食らいついています。この2人を先頭に5k地点を17分5秒、10k地点を33分41秒で通過。その間の5kが16分36秒ですから、前述のレースのペースメーカーと近い位のタイムで通過したことになります。その後は15kを50分37秒で通過しその間の5kが16分56秒、20kを67分32秒で通過しその間の5kが16分55秒と5-10kの区間を除くと極めて安定したペースを刻んでいます。これは10km地点から重友選手とガメラ選手がお互いに先頭を奪い合いながらレースを進めたため。23kからガメラ選手がぐっと前に出て重友選手を引き離し、そのまま単独で爆走して優勝。重友選手はじりじりと下がっていきますが耐え抜いての3位入賞でした。

15-20kを除き、前半の20kが実は非常に横浜と近いタイムで推移していたレース。横浜との違いは、そのタイムを刻んでいたのがペースメーカーではなく優勝候補の選手だったということです。その選手に対して真っ向から勝負を挑んだ重友選手は確かに積極性があったと言えるでしょうが、同時にそれをキープできず、優勝争いを接戦近くまで持ち込めなかったという弱さも見受けられます。

2人の積極性の違い

今回、田中選手落選については「積極性の有無」が理由だったと言います。しかし、田中選手にも積極性はありました。ただし重友選手の形と異なっていただけで。

確かに田中選手はレース序盤のハイペースにはついていません。しかし18kすぎには先頭集団に追いつき、ペースメーカーが外れた23k付近からは先頭でレースを引っ張っています。30キロすぎにはロティチ選手に先頭を明け渡しますが食らいつき、最後のスパート合戦に持ち込ませました。この中盤以後のレース展開、積極的ではないとは言えないでしょう。

一方重友選手の積極性は非常にわかりやすいものです。序盤からのハイペースに臆することなくついていき、そして粘る。今回陸連が高く評価した積極性はこちらの積極性でした。

そして、この形の積極性を示していた選手が横浜にもいたんですよね。横浜3位、日本人2位となった岩出選手です。初マラソンで10代の女子マラソン記録を更新したということでも有名になりましたが、彼女は前述のハイペースに食らいついて、それで3位に食い込んでるんです。タイムが2時間27分台なので今回の選考対象から除外されていますが、同じレースで分かりやすい積極性を示した選手がいて、田中選手はその選手をあまり引き離せていない(タイムとしては30秒弱の差)のもちょっと足を引っ張ったのかもしれません。

結局今回の選考どうなのよ

ということですが、個人的には理屈上納得はしているけどでもそれって通知してなきゃダメじゃないの?と思ってます。

どうせタイムの出ない夏マラソンではどういった積極性でレースプランを立てるか、というのが入賞・メダルに向けてかなり重要なポイントになってきます。国内の選手同士でその辺の意識を共有していると上手くレースを支配できることもあります。そこの意識を共有できる選手を揃えられるか、というのは代表選考における大きなポイントです。つまり本来ならば明記しないまでも各代表選考レースの運営委員会には話をしっかり通していなければならないんです。特にペースメーカーを使う大会では大会運営と陸連側とでうまく意思疎通をしなければレース展開にも大きな影響を与えてしまいます*2いくつかの記事を読んだ限りではその辺りの通達が上手くいってない、もしくは全く行っていないように見えます。これでは今回のような事態になって当たり前です。

今後の課題

常々言われていますが、いい加減選考基準をもっと明確にしましょうよ。タイムだけではレースの性質が異なる以上不公平が出ますが、順位だけで決めるのもレース展開が異なってしまえばやはり不公平です。順位とタイム混合の現在の姿勢は維持しつつ、ある程度条件が一致してして一線に並んだ時にどういう基準で判断するのか、というのを今後明確に記載していく事が求められるかなと思います。

今回もそこを明確にしておけば無用な混乱は起きなかったでしょう。

ちなみに私は(絶対に無理だと分かっていますけど)選考対象になった選手集めてフルマラソン一本勝負で決めてしまえ派です。時期とか色々問題があるのは分かっているけれど一番ぐだぐだしないとも思います。

*1:極端に言えば同じ「本」ってジャンルで、料理のシーンが出てくる推理物ラノベと恋愛純文学のどっちが料理本として優れているか、みたいな選考をしてる

*2:今回最悪の形でペースメーカーの影響が出たのが横浜